おかしらつきの鯛、散乱する。

これも新婚時代に住んでいた賃貸マンションでのできごとです。
そこは駅からアーケードを通って数十秒、周囲は商店街でとっても便利な所でした。
年末年始ともなると、大売出しの商店や買物客で、それはそれはにぎやかなこと!

晦日だったと思います。
駅の隣の小さなスーパーの前に、露店というのでしょうか、
その日限りの商売人サンが店を開いておられました。
お正月用の、おかしらつきの焼き鯛!
実演販売で、そこで焼いては、店頭の台の上に並べられていました。
ちょっと壮観な店先だったので、アタシと旦那は買う気もないクセに眺めていました。

すると。
鯛がズラズラと並べられていた台が
(トロ箱とかビールケースのようなものを適当に組み合わせて作られていた)
不安定だったのでしょう。
他の誰でもない、鯛売りのおじさん本人が台にぶつかった瞬間、
ガラガラガッシャーン!
何がどうなったのかわかりませんが、それはもう見事なまでに、台が崩壊し、
ほとんどの鯛とザルがアスファルトの道路に散乱してしまったのです・・・。

おじさん大狼狽。
アタシ達夫婦はちょっと離れた場所から目撃したのですが、絶句。
通りすがりの買物客達も、かたまってしまいました。
その後おじさんは、台を組み立て直して(頑丈にできたでしょうか?)
鯛とザルを拾い集め、元の通りに修復しました。

みーーーんな、それを見ていたけれど、
「その落ちた鯛・・・売る気よね?」って思っていたけれど、
なんとなーーーく、おじさんが気の毒なのと、鯛がもったいないのとで、
誰もとがめることもなく、結局何事もなかったかのように事件は終息しました。

今でも年末におかしらつきの鯛を見ると、旦那とふたりでニヤニヤしてしまいます。