ひょこタン、お留守番で罪をつくる。

ひょこタンはその日、お留守番をしていました。
お母さんからは、新聞屋さんの集金が来たらお金を払っておくようにと、お財布を預かりました。
やって来た新聞屋さんは、顔なじみのおじさんではなく知らないお兄さんだったのですが、お財布から必要な枚数の千円札を出して渡しました。
やがてお母さんが帰ってきたので、ひょこタンは得意になってお留守番の報告をしました。
ところが話を聞いて、預けておいたお財布の中を確認したお母さんが、千円札が1枚足りないと言い出したのです。
お母さんは、夜になって帰ってきたお父さんとも相談し、新聞屋さんに電話をかけて話をしました。
夜もふけてから、新聞屋さんのいつものおじさんがやって来て、千円札を1枚出して謝りました。
ひょこタンが1枚多く千円札を渡してしまい、昼間集金に来たお兄さんは、1枚多いことに気がついていたのに“でき心”で千円を黙って自分のものにしてしまったのだそうです。
何度も謝ってからおじさんが帰って行った後、お父さんとお母さんはひょこタンに言いました。
ひょこタンさえ、間違って1枚多い千円札を渡さなかったら、お兄さんはお金を盗ることも、おじさんに叱られることもなかったかもしれない。お兄さんは、新聞屋さんの仕事も辞めることになるかもしれない。これからは、お金を扱う時は、もっと気をつけるようにと。
ひょこタンは、一人ぼっちでがんばってお留守番をして、おとなみたいにお金を払ったことがとても嬉しかったのに、自分のせいでこんなことになってしまい、悲しくて、長い間ションボリしていました。