ひょこタン、空家で峰不二子をキドル。

ひょこタンが住んでいた社宅では、たまに住人の入れ替わりがあると、
数日間だけ、一戸が空家になることがありました。
そんな時は、社宅に住む子ども達は、喜び勇んで空家に入り込んで遊びました。
うっすらと積もり始めたホコリ、ひんやりとした空気、
家具が消えた後の、そこだけ青い畳、ガランとした空間。
お友達の家族が出て行ってしまった寂しさと、空家で遊べる興奮。
そこはなんだか、ヒミツの匂いがする場所なのです。
ここでは、おとなの目を気にせずに、好きなことをして遊べます。
一番人気は『ルパン三世ごっこ』。
おとな達は、まさかひょこタンのような子が、
この空家でなら完璧な峰不二子になれるだなんて、夢にも思わないでしょう。
ひょこタンだって、そんなことを知られるぐらいなら死んだほうがマシというものです。
空家には、妖しい魅力があるから、ひょこタンだって大胆になれるのです。