さようならハイテン夫人。最終話

ハイテン夫人からの手紙には、便箋3枚ぐらいに達筆でいろいろと書かれていました。

自分が行っている所は宗教ではなく、非常にレベルの高い団体です、と。
そこには素晴らしい子育てを実践して、素敵な家庭を築いている女性とか、
ビジネスで大成功をおさめている会社経営者とか、真のセレブとか、
そういう方々がたくさんおられ、直接ためになるお話を聞くことができます、と。

(当時はちょうど、旦那が独立起業した頃で、
娘が通っていた小学校もプチ荒れの状態だったので)
そこでぜひ、アタシをその団体に紹介したかったのだそうです。
それがアタシにとって、とても役立つ、助けになることだと思われたそうです。

結果的に、先に美女夫人、資産家夫人、ホームエステ夫人を勧誘することに
なってはしまったが、それも各人のためになると思って、良かれと思ってやったこと。
最初から勧誘目的で近づいたわけでもないし、コソコソ動いていたわけでもないのです、と。

でも、みなさんに不快感を与えたり、迷惑をかけていたなら申し訳ありませんでした、
私はどうさせてもらったら良いのでしょうか?
というような内容でした。

別にどうもしてもらう必要もなかったし、
アタシと友人達への連絡や勧誘はピタリとなくなったので、
特に返事もせず、これで二人の仲は、ふたりっきりになることもなく
終わりました。

ちなみにアタシとハイテン夫人を両方知っている第三者の友人は、
「大好きっ♪」とか
「あなたが素敵過ぎるから、話しているだけでドキドキしちゃうっ♪」
とかいう数々のギョッとするような発言は、
「ある意味、本気だったんじゃない?だから簡単には、勧誘とかできなかったんじゃない?」
なんて言っていました。
確かに、実際に勧誘していた友人達には、「デートしましょっ♪」ぐらいしか
言ってなかったみたいだし。

正直、アタシもなんだか、かなり好かれていたような気はします。
でも、彼女や彼女が入会している団体のことは否定しませんが、
その勧誘の手法にはついていけません
あんなことを繰り返していたら、その団体の会員以外の友人知人達は、
みんな恐れをなして、遠ざかって行ってしまうんじゃないかなぁ。
そのことに気がつかないのかなぁ、と思うと寂しいような、気の毒なような・・・。

先日、派手派手しい格好をして、満面の笑みで、甲高い声で、
誰かにハイテンションに喋りかけていたハイテン夫人を偶然お見かけし、
「あいかわらずなのかなぁ」と、思いだしたお話でした。
・・・おわり・・・


ふたりっきりなアナタに。