食パン袋で命をつなぐ人。

息が白い、真冬の寒い寒い朝に必ず思い出すのですが。

若い頃、豊中で働いていた時。
厳寒のバスターミナルのベンチで、毎朝寝ているおじさんがいました。
布団や毛布、段ボールさえなしに!
膝から足先まで、長いサイズの食パンを入れるビニールの袋を何重にも重ね履きして。
せいぜい、新聞紙を何枚か被っているぐらいの、
あきらかに命にかかわるような、寒々しい姿で。
 
毎朝、もしかしたら凍死しているんじゃないかと思っていたのに。
まだ実家に居たアタシの家には
古い毛布や、父や兄が着古した衣類がいくらでもあったのに。
あの時も、勇気がなくて、結局何もできなかった。
しなかったアタシです。