ひょこタンとトマトジュース。

ひょこタンが初めてトマトジュースを飲んだのは、ご近所のお友達のお家。
お友達の優しそうなお母さんが、わざわざジューサーミキサーで作ってくれました。
トマト自体が苦手だったひょこタンですが、
せっかくなのでがんばって飲めるだけは飲みました。
甘いフルーツのジュースと違って、おいしいとは思えませんでした。
しばらくして、お友達のお母さんは、お友達の目の前で、お友達の弟だけを連れて、
近くの駅でホームに飛び込み、電車にひかれて死んでしまいました。
暑い夏の日、ひょこタンとお友達が遊ぶのを部屋に座ってニコニコしながら見ていたお母さんの姿。
ひょこタンは今でもぼんやりとおぼえています。
そしてトマトジュースを見ると、必ずあの静かな夏の日のことを思い出します。