競売物件でうつむく母娘3人の悲哀。

新居探しをしている時に、一度だけ競売物件を見に行きました。
同じ校区内で、まだ居住者が住んでおられた家。
築年数が経っていたので、小さい部屋がたくさんある古臭いタイプの間取りで、
少々使い辛そうではありましたが、敷地は60坪以上、6DKか7DKの相当広くて重厚な感じの“お屋敷”でした。
それで3000万円強だったから、かなりの値頃感。

アタシら夫婦が訪れた時、
その家には年配の女性と、その娘さんかお嫁さんらしき若い女性がおられました。
彼女の胸には、小さな赤ちゃんも。
不動産屋さんに連れて来られたアタシらとは目も合わせたくないようで、挨拶も、もちろん家のPRもなく、伏し目がちに寡黙に淡々と“生活”しておられました。
荷造りや引越し準備が進んでいる様子も一切なく、なんかごくごくフツーに暮らしておられる様子で。

ナニワ金融道』的な何かの本か漫画で読んだ、競売物件を購入しても元の居住者が出て行ってくれずに困り果ててお金を渡して解決するとか、債権者が居座ってモメる、とか何とかそんなエピソードが脳裏をかすめました。

結局、住宅が古い、無意味に広すぎる、リフォーム代がないということでその物件はやめましたが。
なーんかやっぱり、家全体に陰鬱なムードが充満していて、縁起が悪くてどうにも気が進まなかった、というのが本音だったかもしれません。
居住者のご家族の歴史や日常、それらがつまった“お屋敷”や“生活”を手放さざるを得ない哀しみややり切れなさみたいなものを間近で垣間見てしまうと、なんだかこちらまで辛くなってしまって。